第17章 別れの序章
昨日のあれは…一体何だったんだろう。
私の頭の中で昨日の出来事がよみがえる
前にされたときは鼻先だった…
でもあれは沖田が少しヤキモチ妬いててそれでついしてしまったって感じだったし
じゃあ昨日のは?…
ー 好きだからに決まってんだろうが!ー
『ッ!』
違う…きっと沖田はそういう意味で言ったんじゃない!
勘違いしちゃだめ…自惚れるな私!!
私の"好き"と沖田の"好き"はきっと違う…。
うっすら瞼を開けると最初に視界に映ったのは自分の部屋の天井だった
ゆっくり体を起こし時計を見ると6時過ぎを指していて
窓を打ち付ける雨の音に顔が歪んだ
『雨かぁ…』
何だか昨日は一晩中沖田のことで頭がいっぱいだったからあんまり眠れなかったな。
学校までにはまだ時間があるけど、二度寝する気にもなれない。
『とりあえずなんか食べよう』
台所に向かい、いつも通りに朝食をとる
正直まだ完全に目は覚めていない
『あれ?…バターなかったっけ?』
「あ、バターここ」
『あ、どーも』
それにしても、今日はあんまり学校に行く気になれないなぁ。
…いつもは沖田に会うために学校に行くのがすごく楽しみだったのに、今はその沖田に会いたくないなんて…変なの。
「桜ートイレどこー?」
『玄関から右に曲がったとこ』
「お、あったあった!」
沖田の気持ちがわからない以上、あまり考えすぎるのも良くない気がするけど…
あれ?
…なんか今誰かいなかった?
当たり前のようにご飯食べてなかった?
当たり前のように人んちのトイレ入ってなかった今!!?
急いでトイレに向かいドアを開ける
『…え?』
「あ、入ってまーす」
私はただ目の前の人物に驚きを隠すことが出来なかった
『な…なんで』
「久しぶり!驚いた?」
そういって笑う目の前の男をみて静かにドアを閉めた
なしなし!今のナシで!
きっとまだ夢みてるんだ私!
『あ、もう学校行かないと…』
「あれ、高校行ってんの?」
これからちゃんと戸締まりしとかないとね!!
夢みたいなことが起こったら大変だし!
早く覚めないかな!
『よし、じゃあ行ってきます』
「いってらっしゃい」
『…』
頼むから誰か夢って言ってええええ!