第15章 交差する想い[沖田side]
『よし次はたこ焼き!』
「オイ待てコラ、どんだけ食うんだよ」
そう言った高杉の目には焼きそばと綿菓子と林檎あめとタコせんを両手に持つ私が映っていた
『いいの!今日は食べて食べて食べまくるんだから!』
「自分で金出してから言え」
そう、私は今高杉とお祭りに来ています。
まさか彼と二人でデートする日が来るなんて思わなかった。
最初は高杉も色々文句言ってたけど何だかんだ言って結局付き合ってくれるし、やっぱりいい人だ!
「テメェが無理矢理連れて来たんだろうが」
『そうだっけ?』
「ブッ飛ばすぞ」
高杉が言うと冗談に聞こえないから大人しく黙った
「つーか浴衣着て来たんだな」
『あ、うん!高校最後の夏だしね、
可愛いでしょ?』
そう言って笑うと高杉もクスッと笑った
「…馬子にも衣装だな」
『どういう意味だコラ』
それからしばらくして高杉がトイレに行くと言ったので私は彼を待つ為、近くのベンチに腰を下ろした
それにしても見事にカップルだらけだ
あの黒髪の男の人とショートの女の子なんか…物凄くお似合いだなぁ。
ていうかあの二人どっかで見たような…
あ!
『み、ミツバさん!?と土方?』
「あら、桜ちゃん!」
私に気づいたミツバさんは嬉しそうに手を振ってくれたけど土方は物凄く嫌そうな顔で私を見てきた
『やっぱり二人で来たんだぁ!
もう土方ってば素直じゃないなー』
「う、うるせーよ!」
ミツバさん浴衣姿も素敵!!
「今日はそーちゃんと来てるの?」
『えっ…いや…』
そう言うとミツバさんは少し驚いた顔をした
「?そうなの…」
「吉野お前、誘わなかったのか?」
『誘ったけど、断られちゃった』
「え、でもそーちゃん今日は…」
『?』
ミツバさんは何か言いかけたけどすぐに押し黙った
「吉野、俺たちと行くか?」
『え?』
土方…ひょっとして気を遣ってくれてるのかな…。
ほんと…優しいな土方は。
『ううん、大丈夫だよ。一人じゃないし、
せっかくのお祭りだもん二人で楽しんで来て』
そう言うとミツバさんは少し照れたように笑った
土方は私の頭を2、3回撫で回して私の耳元でボソッと呟いた
「ありがとな」
その言葉が何だか嬉しくて私はとても温かい気持ちになった