第15章 交差する想い[沖田side]
[沖田side]
祭り独特の浮かれた雰囲気が漂う
「6時…10分前か」
ちと早く来すぎたかもしれねェ。
さっきから通りすがりの浴衣女子たちの視線がうぜェ…
―きゃーあの人格好良い!―
―あそこにいる人イケメンじゃない?―
どいつもこいつも同じようなことばっか言いやがって、大体テメーらみんな揃いも揃って彼氏つーもんが隣にいるくせに何他の男に目移りしてやがんでィ。
これだから女ってのは信用出来ねーんだ。
こんな女どもに比べりゃアイツの方が一途で…
「沖田くん!お待たせ」
って何あいつのこと考えてんだ俺は!
今日は山本と祭りに来てるってーのに。
「沖田くん…どうかした?」
そう言って俺の顔を覗きこむ山本は赤い花柄の浴衣を身に纏っていて…素直に綺麗だと思った
「いや別に…行きやしょうか」
「うん」
そう言ってゆっくりと歩き出す
- わぁ、あのカップル美男美女でお似合い-
- 理想のカップルって感じ -
俺と山本を見て言う人達の言葉に山本は少し困ったかのような顔で微笑んだ
「なんか…ごめんね沖田くん。私たち付き合ってるわけでもないのに」
「別に俺は気にしてやせんぜ」
そう言うと山本はほんのり頬を赤く染めて微笑んだ
こんな美人が隣にいたら普通男子ってのは緊張とかするもんなのか?
- 良かったら私と花火大会行かない?-
考えないように考えないようにってしてるのに
俺はどうしてもあのバカのことを考えてしまっている
誘いを断った時のアイツの少し寂しそうな顔は
未だに頭から離れない