第14章 片想いに終止符を
「あ、あの…私優勝したんだけど、その…1位の人にはキ、キスって」
顔を真っ赤にして言う美々ちゃんに沖田は「そうだったねィ」と言って彼女に向き合った
唖然とする私を見て薄ら微笑み沖田は言う
「んじゃ、人気のないとこに行きやすか」
なぁあ!?
キスしちゃうの!?
って…そりゃあそうかルールだもんね。
いやいやでもそんないやだぁああ!
銀八先生のハゲヤロー!
「ハゲてねーよ!!」
そんな私をよそに体育館裏の方へ歩いていく二人
こんな…こんな悲しいお話があっていいの?
何なの作者!
嫉妬してるの作者!
私が嫌いなの作者!
どれだけ私を陥れたいの作者!
いや…違う。作者じゃない…負けた私が悪いんだから。
八つ当たりなんてサイテーだよね。
『山崎くんちょっと面貸して』
「俺にはいいんかいィ!!」
サササッと逃げていく山崎くんに溜息をついて先程沖田と美々ちゃんが歩いて行った方を見つめた
『どうしてわざわざ体育館裏なんかに…』
土方が私の頭にジュース缶を置いて言う
「お前は見たいのかよ、二人がキスしてるとこ」
『そ、そんなわけないじゃん!絶対やだ!』
「じゃあそーゆうことだろ」
『え?』
「総悟はお前が傷付くと思って場所変えたんだよ」
『そ、…』
そんなの…
嬉しくないよ、沖田。
「あ、いたいた桜ちゃーん!」
『ミツバさん!』
ミツバさんの名前を出した瞬間土方が飲んでいたジュースを吹き出した
「優勝おめでとう、最後のは惜しかったけど二人三脚はとても良かったわ」
『あ、ありがとうございます!でも…沖田の…』
「そーちゃんなら大丈夫よ、あの子は強いから」
そーゆう問題か?と土方がツッコんだ
「十四郎さん、桜ちゃん…私競技中二人の名前呼んだの、気づいてくれた?」
『もちろんです!ね?土方』
「あー…走るのに必死だったから、気づかなかった…な」
…一番動揺してたくせに。
ドゴォッ!
『痛っ!何で殴るの!?』
「何か腹立ったからだ!」
「そういえばそーちゃんは?」
ミツバさんの言葉にハッとなって体育館の方を見つめる
『遅いなぁ…二人とも』