第14章 片想いに終止符を
「さすが桜ネッ!」
「すごいわ桜ちゃん!」
「行けぇええ!吉野!」
みんなの声援が聞こえる
そうだ…
私はひとりじゃない!!
『ハァッ!』
私の沖田に対する想いが
『こんなもので折れるもんかぁあ!!』
「抜かしたァアア!Z組吉野桜が同じくZ組山本美々を抜かしましたァア!!
ていうか同じクラスだよね!?何で競争してんの!?」
このまま一気にゴールする!絶対に!
見ていて沖田、私優勝するからッ!!
あと少しでゴール、というところだった…
ズサァァッ
『ぐふっ…』
え。
「転けたァアア!吉野桜まさかのゴール直前で転けました!そして彼女の後に続いてた山本美々が先にゴール!」
「ハァ…え…私、勝ったの?」
息を整えながら驚いた様子の美々ちゃん
「やったァアア!優勝だー!!」
Z組のみんなは喜んでたみたいだったけど私は自分でも血の気が引いていくのがわかった
砂まみれの顔を上げて銀八先生を見ると、私の視線に気づいた先生は慌てて目を逸らし口笛を吹き出した
そんな先生から解放されたらしい沖田がゆっくりとこっちに歩いてくる
そう、物凄く怖い顔で。
私の前まで来て沖田は無言のまま私と同じ目線までしゃがんだ
これは…絶対怒ってる!
だってあんなに良いシーンで転けたんだもの!
沖田のキス守れなかったんだもの!
「オイ」
『ごめんなさィィイイ!!!』
生まれて初めて土下座というものをした
今の私の姿を見て沖田はどう思っただろう。
少なくとも好きになってもらうのはまた遠退いちゃったかもしれない
沖田は叩くわけでも怒鳴るわけでもなく私の頭にそっと手を置いてただ優しく撫でるだけだった
『お、沖田?』
驚いて顔をあげると沖田の赤い瞳が真っ直ぐ私に向けられていて恥ずかしさから思わず目を逸らしてしまいそうになった
「吉野、俺…」
『…?』
「お、沖田くん!」
沖田が何か言いかけた瞬間、美々ちゃんが来て沖田はその場でガクッと肩を落とした