第14章 片想いに終止符を
始まってしまったからにはもうどうしようもない
走る速さには全く自信ないけど、私が今持っている力を最大限に使えばひょっとしたらなんとかなるかもしれない!!
意を決してハチマキを巻きスタンバイする
「さあいよいよアンカーにバトンがまわってきます!」
「じゃあお先に桜ちゃんっ」
『え!?』
先に帰ってきたのは美々ちゃんのチームで彼女はバトンを受け取ると全速力で走り出した
やばい、お願い早く来て!
次々と他のチームの走者が帰ってくるなか、私のチームはなかなか帰って来ない
もう何!?前の走者一体何してんの?
すると遠くからその姿が見えてよく目を凝らすと…
「来ました!どうやら彼は骨折中の為、自ら加減しながら走っていたんですね」
いや骨折してんなら走るなァアア!
何やってんのあの人!
「ごめんよ吉野さん僕は…例え骨折しても走ることを諦めたくなかったんだ!チームの足を引っ張りたくなかったんだ」
『そんなシリアスな言い訳いらないから!最終的にチームの足引っ張ってるから!』
バトンを受け取り猛ダッシュでみんなの後を追った
「これはZ組吉野さん、完全に出遅れている!」
どうしようこのままじゃ負けちゃう!
1位の美々ちゃんと私じゃ差が開きすぎてる…
とてもじゃないけど…これは追いつけない
ごめん…沖田。私…
「オイバカ女ァアア!何やってんでィ!」
『!』
沖田?
「何諦めようとしてやがんでィ!!ブッ殺されてーのか!」
沖田…。
でも、私には無理だよ。
「…れッ!」
え?
「俺のこと本気で好きなら何がなんでも優勝しやがれーッ!!」
沖田の叫んだ一言でグラウンドは一気に静まり返った
「「「え。」」」
『な!』
な、ななに言ってくれちゃってんの沖田ぁあ!!
「え、あの二人付き合ってるの?」
「てか吉野さんって沖田くんのこと好きなんだ…」
そう口々に飛び交う言葉に顔から火が出そうになった
そんなこと…
そんなこと!!
私は全速力で走った
『言われなくたってわかってるわァ!!』
次々と前に走っていた人たちを跳ね飛ばす
「沖田くん…
全校生徒の前で大胆だねぇ?」
「うるせー銀八」