第11章 ジェラシーとキス
『な、なんでここに?』
沖田は私の問いに答える素振りも見せず石田くんを睨み付けた
「何泣かしてんだ…」
『違うよ沖田!石田くんはっ』
「俺、桜さんにフラれたんです。やっぱり彼女はあんたが好きみたいで…」
な、何言ってんの石田くん!
「だから桜さんのことは諦めます」
『石田くん…』
石田くんは私を見て優しく微笑むと腕を引き寄せ私の頬にキスをした
『なっ!!』
「は!?…」
びっくりして私は自分でもわかるくらい顔が真っ赤になった
沖田も目を点にしている
「意外と隙だらけですね」
そう意地悪く笑って石田くんは去って行った
残された私と沖田の間に何とも言い難い空気が流れる
と、どうしよう!
さっきのキスもあってか沖田の顔がまともに見れない
ちらっと沖田をみると彼の向こう側に観覧車が回っているのが見えた
『か、観覧車!』
「あ?」
『乗ろう!!』
何か話す切っ掛けを見つけようと思ったのによりによって何で観覧車を選んでしまったんだ私!
でも沖田と観覧車!
生涯に一片の悔いなし!
一人でガッツポーズを決めていると目の前に座っている沖田が口を開いた
「なぁ、あの石田とかいう奴…」
『石田くん?』
「…いい奴だな」
窓の外を見ながら沖田は言った
『…うん!石田くんはすごく意地悪だけど…根はとってもいい子なんだよ!!』
笑顔で言う私に沖田はたちまち不機嫌になった
…あれ?
「そうだよなァ、どっかの誰かはキスされて真っ赤だったしなァ」
『あ、あれは急でびっくりして…それにその…頬っぺただし…』
後半は自分でも何言ってるかわからなかったけど、とりあえず誤解を解こうとひたすら喋った
でも次の瞬間沖田の顔が目の前にあって
チュッ
鼻先に沖田の唇があたった
「あんま妬かせんじゃねーや」
耳元でそう呟いた沖田の声が体中に響いた