第11章 ジェラシーとキス
石田くんはプッと笑って頭を掻いた
「どんだけ一途なんすか!」
『笑いすぎ…!』
「でも、ちょっと羨ましいっすね沖田先輩が…」
『えっ?』
「俺は…複数の誰かより好きになった女ひとりに想ってもらえるのが1番幸せだって思うんすよ…まぁ、俺の場合もう負け確定ですけどね」
『石田くん…』
「けど俺、そんな桜さんだからきっと好きになったんだと思います。だからちょっと悔しいけど…諦めないで下さいよ、沖田先輩のこと」
そう言って石田くんは少し切なそうに笑った
何故か私の頬には涙が伝っていた
「え、どうしたんすか?」
『え、ううん!な、なんか…急に』
石田くんと自分が重なって見えて。
「うわ、何で泣くんすか!!」
『な、なんでかなー』
涙が止めどなく溢れてくる
「こっちが聞きたい!!」
すると次の瞬間、誰かにぐいっと腕を引っ張られた
『え…』
「何やってんでィ」
沖田…?