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一期一会【鬼滅の刃 不死川実弥夢】

第4章 昇格と里帰り



夜。

刀鍛冶の里は静まり返り、聞こえるのは虫の声と川のせせらぎだけ。

飛羽新しい日輪刀を腰に差し、実弥と並んで歩いていた。

「兄ちゃんに見つかったら、また酒取り上げられるわ。」

「当たり前だ。」

そんな何気ない会話の途中だった。

ピタッ――。

飛羽の足が止まる。

同時に、実弥も歩みを止めた。

「……。」

「……。」

二人は何も言わない。

だが、同じ方向を見ていた。

山の奥。

風が運んでくる、微かな異臭。

鬼の気配だった。

実弥が低く呟く。

「感じたか。」

飛羽はゆっくり頷く。

「ああ。しかも、一匹じゃねぇ。」

原作の知識を持つ飛羽は胸の奥がざわつく。

(この気配……もう来たのか。)

実弥は刀の柄に手を添えた。

「里まで入り込んでやがる。」

「急ごう。」

二人は屋根へ飛び乗り、一気に里の外れへ向かう。

その途中。

ガシャン!

遠くで何かが壊れる音が響いた。

続いて、刀鍛冶たちの悲鳴。

「鬼だァ!」

実弥の目つきが変わる。

「飛羽。」

「ああ。」

言葉はそれだけで十分だった。

二人は同時に日輪刀を抜く。

キィン――。

月明かりを受けて、二振りの刀が輝く。

飛羽は深く息を吸った。

「酒の呼吸・壱ノ型――一献風酔(いっこんふうすい)」

実弥も地を蹴る。

「風の呼吸・壱ノ型――塵旋風・削ぎ。」

二人の斬撃が交差し、里へ踏み込もうとしていた鬼を一瞬で吹き飛ばした。

しかし――。

飛羽の表情は晴れない。

(違う……こいつらは前座だ。)

原作では、この襲撃の本命は上弦の鬼。

飛羽は夜空を見上げ、小さく息を吐く。

「……始まる。」

実弥は横目で飛和を見る。

「何か知ってんのか。」

飛羽は一瞬だけ迷い、それでも刀を握り直した。

「今は説明してる時間がねぇ。まずは里の人たちを守る!」

実弥はそれ以上は聞かず、口元をわずかに吊り上げる。

「上等だ。」

二人は肩を並べ、迫り来る鬼の群れへ駆け出した。

この夜が、刀鍛冶の里の運命を左右する激戦の幕開けになるとは、まだ誰も知らなかった。
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