第6章 来たよ!!!体育祭!!!
ステージに上がった芥川と敦。
スタートの手札は切られたが、両者一歩も動かず。
その場の空気を支配するのは互いが放つ濃い殺気のみ。
その殺気に当てられた人はその場から動けなくなるだろう。
なんで実況席からそんなことがわかるのかって?
答えは単純明快。実況席に居ないからさ。
は?ってなる気持ちは分かるよ。
でもね、本当なんだ。あ、興味無い?なら良いや。
嘘嘘。僕はちゃんと許可を取ってきたよ。相澤先生に。マイク先生は行ってらっしゃい全開だったけど、相澤先生は渋い顔してたから。頼み込んで許可してもらった。
「甘いね」
僕からしてみれば、ぬるま湯をかけられた位の殺気だよ。
伊達に猟犬とマフィアをしていた訳じゃないからね。
「さぁ、先に動くのは龍か虎か。…うふ、流石敦」
先手を打ったのは敦。
其れに反応出来ない芥川では無い。激しい攻防戦になる。
敦の拳を羅生門(青色だけど)が受け流す。その隙を狙って羅生門が脇を突く。まぁ然し、流石ネコ科の回避能力。
お互いがお互いを熟知しているからこその反応に目をむく報道陣も多い。確かにこの闘いを初めて目にする者は有り得ないと思うだろう。それ程までに精錬された間合いだから。
「ここまでとは、」
僕も久しぶりに見たから、ここまで精度が上がってるなんて知らなかった。
敦の拳は以前より重く、正確性を極めている。芥川の羅生門は、青色なのは気になるけど、加減を分かってきた感じかな。的確に弱い所を突く事で必要最低限の力で事足りる。
「矢張り、マフィアとしての経験が勝つ、か」
勝敗としては僅差で芥川が勝った。
勝ったんだけれども、お互いにボロボロになりすぎていて、芥川は次の試合に出られるか不明だ。勝敗はつけどもその力は強力で、きっと双黒となれば治くんと中也に肩を並べられる程の強さとなるだろう。
あー、此は起きた時荒れそうだなぁ。
面倒事になる前に僕は退散しよーっと。