第3章 いざ、雄英高校へ
最後の種目のソフトボール投げとなった。
此処に辿り着くまでにうちの子たちの小競り合いが激しくてねぇ。殺されるかと思ったよ。先生に。僕が。保護者でもないのに。
体力テストを見て思ったことがある。
今からボールを投げようとしている男の子、そう、緑のもじゃもじゃくん。
「彼、個性使わないのかな~?」
記録が芳しくないのだ。これじゃあ除籍処分確定だよね。
「彼奴如きに東条さんが意識など向ける必要は「芥川」…っ、はい」
「ちょっと気になるかな」
彼の方へ足を向ける。
「あ、ちょ、東条さんっ?!」
敦の呼ぶ声が聞こえたが気にしないさ。
「ねェ、君」
「はっ、はいぃっ!?」
「個性、使わないのかな?」
「っ、、」
「体に負担がかかるから?扱いが上手くないから?此処で本気を出さなきゃ、君の夢は地に落ちるよ」
怯えた顔をしたねぇ。一瞬だけど。それが個性を使用しない正当な理由に当たるものなのかな?非常に興味深い。
「東条、競技の邪魔をするんだったら」
「おっと。そんなつもりは露程も無いよ。失礼した」
「だから敬語を」
「はいは~い」
「はいは一回だろうが…!」
おお怖い。国木田君に似てるね。
あーっと、もじゃもじゃ君。僕に挑発されたからと云ってむやみに個性を使うんじゃない。
壊れてしまうからね。