第1章 きっかけはスカウト
ほんの少しヒリリと痛む頬と、ドクドクと心臓が体を突き破りそうなほどの鼓動。
「もちろん呪術師として活動してもいいんだけど、怪我してほしくないからさ。家に居て欲しいのが本音かな。僕だけの癒しになってくれると…って、寧々?」
五条先生が…どんな女性向けアニメよりも甘くてときめく言葉をくれるから。
心地よい声の音圧に鷲掴みされた思考は…止まらない。
「ひゃ、ひゃい…っ」
「アハハ、頭がパンクしちゃったみたいだね。寧々、僕は寧々のことが大好きだよ」
「……うっ!」
思考がまとまりきらない内に、五条先生は畳み掛けるように愛を囁く。
「ずっと好きだった。自分で誘ったことだけど、生徒にしたのは間違いだったかな。言えなくてもどかしかったから。寧々だけを特別扱いしないように、良い教師でいようとしていたけど…もう、我慢しなくていいよね」
そう言って…つねった頬に柔らかな唇をギリギリまで寄せた。
「寧々の答えを聞くまでは、寸止めしかできないな」