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五条君に恋に落ちるお話【R18】

第1章 enrollment






『はぁ、はぁっ、棘の家、遠いよ…!』


走っていた脚を止め、息を整える努力をする。

かぐらが独り言を呟いて見上げたのは、従兄弟である狗巻棘が住む大きな家の門だった。

私の家と違って本家は大きいな、なんて思いながらもチャイムを鳴らし、深く息を吸い込んだ。

呪術高専東京校の入学式を明日に控えている私に入った、突然の本家からの連絡。


"棘が呪言らしきものを発したから急いで来て欲しい。"


12歳下の従兄弟の棘は、まだたったの3歳。

私が初めて呪言を使ってしまったのは5歳の時だったから、2年も早い。

5歳だった私ですら混乱で、理解が追いつかず、呪力のコントロールするまでにかなりの時間を使ってしまったというのに…



『よし…!』



念の為敷居を跨ぐ前に脳を呪力で覆うと、ちょうど扉が開いた。

複雑な表情で出迎えてくれたのは、棘のお母さん…つまり私の叔母。

疲れ切った表情から察するに、棘は既に手がつけられない状態なのかもしれない。



「ごめんなさいね、私は呪力が弱くて自分の身を守れないものだから…」

『いえ、どうか気にしないで…任せて下さい』

「…ありがとうかぐらちゃん。奥の部屋に棘と見張りの者がいるわ」

『見張り…?』



涙ぐむ叔母から飛び出した物騒な言葉に目を見開いた。

しかし当の本人は、自分の涙を拭うのに手一杯で私の声は届かなかったようだ。

一礼してから奥の部屋とやらに急ぐ。

たった3歳の男の子に"見張り"をつけるなんて、棘の気持ちを考えているのだろうかと、若干の怒りと大きな焦りで背筋が凍りそうだった。

棘が傷ついて無いといいんだけど…!



『失礼します。かぐらです。

棘はどこに?……!!』






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