• テキストサイズ

MENおら

第2章 君のようになりたい/ならなくてもいいよ


「俺みたいになりたいってこと?」
 とりあえずそう聞いてみたMEN。おらふくんはうーんと唸った。
「でも、MENみたいになれたらいいなって思って」
「俺みたいになれてもなんも得しないって」とMENは言った。「俺は適当でズボラで理不尽なクイズばかり出す。それに机の上はいつも散らかってる」
「はははっ、それは僕も同じよ」
 机の上掃除しないとな、とおらふくんの興味が逸れたみたいで動画も停止して立ち上がった。
「どこ行くんだ?」
「机の上でも掃除しようかと思って」
「手伝おうか?」
「うん、ありがと、MEN!」
 そうして話題も気持ちも転々としやすいおらふくんにMENはすっかり慣れていたが、それでも「MENみたいになりたい」という言葉に何か引っ掛かりを感じていた。
「ところでおらふくん」
 おらふくんの部屋に向かう途中、MENが唐突に話を振った。
「何?」
 おらふくんは何も気にする様子なく振り向く。おらふくんのじっとこちらを見つめる顔はいつ見ても可愛らしいなとMENは思いながら、話を続けた。
「俺は大切な恋人に触れることが好きだ。特に一番好きな体の部位はどこでしょう?」
「えっ」
 こんな廊下の途中でこんな話題になると思わなかったのか、途端に顔が真っ赤になるおらふくん。羞恥耐性の高いおらふくんでも、これは不意打ちだったらしい。とはいえこれを言うMEN自身も恥ずかしかったのだが、この全てを晒していい恋人と二人きりのここでなら、なんでも言える。
「なんなん、急に?」
「いいからいいから、一回だけでも答えてみ?」
「う〜ん……」
 天井を仰いで考え込むおらふくん。表情豊かなおらふくんの顔をこうもじっくり眺めるのは実に絶景だとMENがその頬を撫でると、嬉しそうにさらに頬を擦りつけてくるおらふくんはより可愛い。
 それからぱっと目を開いて閃いたようにこう答えた。
「もしかして、僕の顔とか?」
「はっはっはっ、惜しいっ」
「え〜」
 負けず嫌いなおらふくんはちょっと悔しそうな顔をする。MENはすっかり満足し、じゃあ行きますかと先に進むのでおらふくんが真っ先に聞きにきた。
「え、答えはなんだったん?」
「それは……」
「え……め、んんっ……」
 おらふくんの口を塞ぐようにMENは答えを唇に託した。
/ 6ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp