第2章 君のようになりたい/ならなくてもいいよ
「ねぇ、MEN」
ある日のおらふくん家。MENはスマホを弄りながら隣からすり寄ってくるおらふくんへ目を向けた。
「どうした」
とMENが聞けば、おらふくんがその丸い目を向けてじっと見つめてくるから何かが騒いで狼狽える。
「どうしたらさ、MENみたいになれるんやろと思って」
「え”」
何をどう考えたらその発言になったのか、MENには皆目検討がつかなくて変な声で返事をしてしまう。
だがおらふくんは気にする様子なくMENから視線を逸らし、手に持っていたタブレット端末を見やった。
そこにはいつかの撮影で撮ったドズル社の動画が流れていた。
「急になんだよ……?」
とMENが問いただせば、ほら見て、とおらふくんは動画を巻き戻してあるシーンを映し出す。その動画はクイズをしながらエンドラ討伐するという企画で、MENが丁度理不尽なクイズを出してメンバーにブーイングをされているところの映像だった。
「ははっ、懐かしいな。俺こんなこと言ってたんだ」
「懐かしいって……まだ二ヶ月前の話よ?」
へぇ、まだそれくらいしか経ってないんだ。MENがトボケたフリしてそう返せば、そんなことより、とおらふくんがまたこちらを見つめた。
「僕もさ、MENみたいに面白いこと言えたらいいなって思ってるんよ」
「そんなこと言われても」
おらふくんはおらふくんのままでいいのに。MENはそう思ったが、おらふくん自身の考えも尊重したかったので、そのまま言葉にする前に少し間を置いた。