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あの方々の守護霊は[dzl]

第6章 メンさんの守護霊


 私と先輩が向かった最後の出演者の一人は「メン」という男性だった。
 大柄な人で一見気が強そうに見えるのだが性格はその真逆で繊細で優しい。
 それによく笑い、俺のところは自分でもメンテしてるんで大丈夫っすよ、と気さくに話してくれた。でも本当にダメだった時は頼りますわと言うと、先輩が「サーバーを重くさせることだけはしないで下さいよ?」と釘を刺すように言っていたので驚いた。なんでそんなことを言われてるんだ、この人。
 途端に体が小さくなったかのようにすみませんって謝るメンさんのギャップに私はドギマギしながら、機械メンテナンスという名目の点検を済ませていく。
 メンさんの守護霊は、恐らく家族か遠いご先祖様のような人がついていてそんなに怖くはなかった。なぜなら守護霊が着物を羽織っていたから。
 それに遠いご先祖様になるにつれ、人の姿が保てなくなるのか、やや白蛇のようになっていたことにも少し興味が湧いた。白蛇は幸運の象徴だという話はどこかで聞いたことがあった。彼はとても運が高いのかもしれない。
 大して時間もかからずに、先輩と私は機械メンテナンスを終えて家を後にしようとした。メンさんは律儀にも、ありがとうございましたと言いながらよかったらこれを、と二本の炭酸飲料水を頂いた。二人来るとは思わなくて、これしかなかったとメンさんは言う。次はお茶でも用意しますと言ったので、先輩と一緒に気は遣わなくて大丈夫と返して置いた。メンさんはまたケラケラ笑って、暑い中ありがとうございましたともう一回言ってくれて、私たちは家を出た。
「メンさんって紳士的な方なんですね」
 と私が言うと、意外でしょ? と先輩が答えて慌てて首を振った。先輩はくすくす笑って、君は箱推しなの? と質問してきた。
「箱推し……?」
「あれ、もしかして知らないの? あの五人のこと」
「動画は、あまり見たことなくて……」
「配信は見たことあるってこと?」
「ハイシン……?」
「あ、見たことないのか〜」
 やはり、この会社の一人として動画は見た方がよさそうだ。私は先輩に、オススメの動画を聞いてその日の仕事を終えた。
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