第3章 ぼんじゅうるさんの守護霊
「ぼんさん、来ましたよ」
と先輩が声を掛けてやって来たのは、ぼんじゅうるさんの自宅。どーもどーもと出迎えてくれたのは、背の高い男性でラフな格好をしている人だ。
「この人は臨時スタッフで……」
と先輩が私のことを説明している間も、私はぼんじゅうるさんから目が離せなかった。詳しく言うと、ぼんじゅうるさんの背後にいる守護霊的なやつから。
ぼんじゅうるさんの守護霊は、一見人間の姿はしているのだが、その見た目は強面男。筋肉隆々な体つきをしていて、目の辺りにはなんか一本の傷跡がある。何この人、元ヤンとかなの……?
「……大丈夫?」
私がよっぽど変な顔をしていたのか、先輩がこちらの顔を覗き込んできた。私はなんでもないですと言い繕って機械メンテナンスに集中した。ぼんじゅうるさんはそのそばで穏やかに、時々賑やかに話しかけてくる気さくな人なのに、強面守護霊につい目がいってしまって何を話したかは全然覚えていない。
車に戻ってから先輩にぼんじゅうるさんについて聞いてみたのだが、どうも元ヤンだったとかという話は聞かない。それどころか、マイペースで不器用だから、機械トラブルは多いかもよなんて言われ、家に呼ばれる頻度は高いかもしれないと聞いた。どうしよう。いつか私もその人の家に一人で行くことになるんだよね……?
そんな不安をよそに、先輩の車は発進した。次は「おんりー」さんの家に行くみたいだ。