第2章 ドズルさんの守護霊
「あ、いらっしゃい。わざわざ来てくれてありがとう」
と出迎えてくれたのは優しそうな男性だった。私が緊張気味にお辞儀をし、先輩が定期メンテナンスついでに臨時スタッフを連れてきた、と説明している間に、その男性の周辺に目を凝らしてみた。
その男性の周りには、一人の女性の横顔がちらちらと映った。これも幽霊らしいが、ちらつく辺り、これは生き霊だということが私には分かっていた。優しい雰囲気の女性だけれども、と内心で首を傾げていると、男性の薬指に指輪が嵌っていて私は気づいた。そうか。きっと奥さんの生き霊だ。
その後、説明が私に向けられ、先輩からこの男性は「ドズル」というあだ名で動画投稿していることを知った。機械のメンテナンス中に奥さんらしき人がちらっと顔を出し、私は間違いなくドズルさんは奥さんの生き霊が守護霊であると確信した。ちなみに奥さんにはドズルさんの生き霊が一部ついていた。お互い見えない部分すら支え合っているみたいで仲良い夫婦感が伝わってきて微笑ましかった。
機械のメンテナンスは無事に終わり、私は再び車に乗った。次は「ぼんじゅうる」さんのところに行くらしい。その人もいい守護霊がついているといいなと思ったが、それは出会ってから打ち砕かれることとなる。