第3章 ぼんブレイズ目線
俺の名前はぼんブレイズ。世界一のお宝を探して故郷を飛び出してきた孤高のブレイズなのさ。
というのは半分嘘で、本当は帰り道が分からなくて彷徨っていたところを人間の罠に捕まって助けられたのが始まり。
俺は罠から助けられたあとはMOB販売所に売られていて、どうやら保護してくれる飼い主ってやつを待っている立場だった。
飼い主というのはわりと早く見つかった。男の人間で、俺より先にパンダドズルを片手に連れていた。周りの人間はその飼い主を引き止めていたようにも見えたが、迷わず俺を選んで「この子がいい」と確かに言った。
俺はそれがどういう意味か分からなくて怖かった。だが、飼い主は他にも三体のMOBを連れてどこかの建物に入り、どこかに行った。どこに行くんだと聞いてみても人間には通じないらしい。
間もなくして飼い主がまた戻ってきて何か話しかけてきたが、人間の言葉は複雑で難しいから分からなかった。それから急に手を出てきたから思わず火の玉を飛ばしたら目の前のオリが溶けてますます驚いた。
これはさすがに怒られるんじゃないかと俺はオリの隅に行って飼い主の行動を待ったが、何もされないどころかまたどこかに行って拍子抜けした。おーい、俺、ここから出てもいいのか……?
少しして飼い主が戻ってくると、オリを何かで塞ぎながら話しかけてきた。多分こう言っていたように思える。
「待ってくれてたんだね。偉いね」
その言葉があまりにも優しかったからよく覚えている。多分いい言葉だ。
人間といると日にちというものもだんだん理解してきて、飼い主はしばらく経ったある日、俺を手の平に乗せて楽しそうにしていた。
人間ってのは面白い。色々な表情があるんだな。
俺は火の玉を飛ばす前の行動をして返事をしてみた。今度は飼い主は目を大きく開いたが、次には楽しそうに笑った。こんな生活も、悪くないと思った。