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こちら、MOB飼育係2[dzl]

第1章 MOB紹介


 三体目はウパおらふくん。ピンクの体をしたウーパールーパーだ。
 ウパおらふくんは水槽で飼っているけれど、外の世界が気になるのか、時々水槽から飛び出して散歩をしている好奇心旺盛な性格みたいである。
 水辺に棲む生き物とはいえ、一瞬開けた冷蔵庫に入って来た時はびっくりしたっけ。ウーパールーパーなのに暑がりなのかなとも思ったけれど、ある日の冬に窓辺へ連れ出したら不思議そうに降ってくる雪を眺めていたから、小さな雪だるまを作ってあげるととても気に入った様子で水槽の中へ持ち込もうとしたこともあった。もちろん雪だるまは解けちゃって、ウパおらふくんがずっと落ち込んでて泳ぎに元気がなかったのはよく覚えているな。

 四体目は毒蜘蛛おんりー。独りよがりだから「おんりー」と名づけられたらしく、群れで行動する毒蜘蛛たちの中で、ぽつんと一体だけ離れたところにいる毒蜘蛛おんりーを見つけて僕が飼ったMOBだ。
 毒蜘蛛は噛まれると毒になるからと、分厚い手袋を嵌めて触れ合うんだけれども、僕がうっかり飼育カゴの中に手袋を落としてしまったことがあった。
 僕が割り箸を使って手袋を取り出そうとそこから少し離れた瞬間、慌てていたのもあって飼育カゴの蓋を閉め忘れたのだ。僕が割り箸を取りに戻ろうとしたら、そこに毒蜘蛛おんりーがいて。最初はびっくりしたけど、僕が落とした手袋を持って来てくれてすぐに分かった。毒蜘蛛おんりーは、手袋を取って渡してくれたのだと。
「ありがと、おんりー」
 僕が初めて毒蜘蛛おんりーを素手で触った日。毒蜘蛛おんりーは、掠れたような小さな声で返事をしたような気がした。その日から、毒蜘蛛おんりーの飼育カゴは、いつも鍵が開いている。
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