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ドズMEN

第2章 アナタにタッチしたい


「MEN、ドズさんのこと見過ぎじゃない?」
 会議は無事? に終わり、みんなやスタッフたちが散り散りに退室していったところを見計らったかのようにおんりーが切り出した一言だった。
「そうかぁ?」
 なんてとぼけたフリをしてみても、鋭いおんりーは俺のことを怪しげに睨むばかり。そんな目で疑いなさんなって、おんりーちゃん。
「……正直、見てたかも、な?」
 ここは白状してしまおうかと、会議室に俺たち以外誰もいなくなったところを見てそう答えた。おんりーからの表情の変化はあまりなく、ふぅんと視線を逸らされただけだった。
「ドズルさんの髪型って、あれワックスかけてるんだと思う?」
「え?」
 このまま「はい、そうですか」と立ち去るのも言い足りない気がして俺が振った話に、おんりーは驚いた顔をこちらに向けてきた。驚き過ぎてその緑髪の跳ねた癖っ毛が大きく揺れたくらいだ。
「そんなこと考えたらついドズルさんの頭見ちまってよ〜……夜も寝られないかもな」
 なんてまたもや俺の適当発言に、おんりーはとうとうため息をついた。
「そんなに気になるなら、ドズルさんに聞いてみたらいいじゃん」
「あー、それもいいかもな」俺は相槌を打つ。「ドズルさんの髪にタッチ出来っかなぁ」
 ハッハッハッと大声で笑えば、そんなことかみたいな顔をしておんりーは席を立った。
 髪をタッチしてみたいのは、本当かもな、と本心は隠したつもりで。
 だが、さすがにおんりーにはバレたのか? と少し不安になっていると、立ち去り際におんりーがこちらを振り向いて、俺にこう言ったのだ。
「あんま見てるとバレると思う。いつかはね」
「えっ」
 じゃあまた。おんりーはそう言い残して会議室を出て行った。急に早くなる心臓を落ち着けようと、俺はテーブルの上の資料へ視線を戻す。
 何が、バレるって……?
 俺の密かに秘めた恋路は、そんなに穏やかではないのだろうと、改めて痛感した瞬間だった。
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