第2章 馬鹿と告白と初デート
水無月家は古くから続くわけでも、由緒正しいわけでもない、それでもゆくゆくは御三家をも凌ぐと言われる…いわば新進気鋭の系譜だ。
その水無月家の次期当主として持て囃される兄と、その兄さえ居れば不必要な妹。
表向きには才覚のある兄を筆頭に呪術界を牽引する存在となり得る最中。
実態は妹に暴力を振るい虐げた後、性的虐待を加える兄と、兄を溺愛するあまりその事実を隠蔽する両親。
『もしかしたら寧々でもお兄ちゃんの役に立つかもね』
家に居場所がなく、両親に都合よく捨てられた先が呪術高専だった。
兄はあれやこれやと世話を焼かれながら、高専へ送り出された過去があるというのに。
卒業して先輩に当たろうが兄も両親も嫌い、水無月家が嫌い。
でも馬鹿ね、圧倒的に強くなった私に寝首を掻かれることなんて頭にないんでしょ。
最も…私は最初から兄よりも両親よりも強かった。
ただそれが虐待の引き金になったことは、自分でも馬鹿みたいと思ってる。