第4章 告白と返事
ーーーーここから先は、私が五条くんと電話をしている間に起きた知らない出来事。
この時の夏油くんの気持ちを知るのは、もっと、ずっとーーーー。
帰っていく寧々ちゃんを教室から1人見送る。
「否定もしなかったけど、振られたようなものだね」
私の告白は悟の言葉こそ借りたけれど、あながち嘘ではなかったんだが。
もしも自分の言葉で伝えてしまえば、引っ込みがつかなくなってしまっていた。
「まだ友人を優先できるほどの気持ちで良かったよ。本気で寧々ちゃんに惚れていたら、身を滅ぼしていたかもしれないね」
自分の気持ちが完全な恋心に育つ前で良かった。
恋情まで育ち切らなくて本当に良かった。
私にとって悟という親友を慮れる状況で良かった。
だって私達は最強だから。
最強同士がいがみ合うなんてことは、あってはならないだろう?
「いっそ…」
眼中にないとハッキリと振ってくれていたら、わだかまりはなかったのだろうか。
それとも…気持ちを、心を込めて自分の言葉で伝えていたら、何かが変わったのだろうか。
「甘い期待は止そう」
明日も授業があるんだ、切り替えなくてはね。
悟に「おめでとう」とだけメールを送って、私も教室を後にした。