第3章 任務と楽しい思い出
安堵から顔が綻んだのは、否定しようがない。
「ごめんな寧々、全部片付けてきたから帰ろう」
「五条くんは悪くない…私が…っ」
立ち上がろうにも足に力が入らない。
産まれたての子ヤギみたいに足をプルプルさせ、なんとか体勢を立て直そうとする私に
「本当にごめん、今だけは…俺に触れさせて」
地べたにうずくまる私に合わせた目線。
五条くんはサングラスの奥で、優しく困ったように笑っていた。
「嫌に決まってるでしょ…っ、なにす…っ!?」
優しい困り顔から一転、真剣な眼差しに切り替わった五条くんに体が抱き寄せられる。
「触らないでっ!!」
「無理、今だけは大人しく抱かれてろ」
ふわっと羽のように体が軽々と浮いて、五条くんの胸板にそっと頭が触れる。
「…っ!下ろして!」
「ダメだ、歩けないんだろ。俺が車まで連れてってやるからじっとしてろよ」
「離して!!」
「だーかーら、大人しくしろって。暴れるお姫様なんて聞いたことねぇよ」
もがいて逃げ出そうにも、不自由な足に加え、五条くんがガッチリ抱え込んでいるせいで敵わない。