第3章 任務と楽しい思い出
指差した建物が、廃工場がゴオゴオと凄まじい音を立てて、たくさんの砂埃を巻き上げて一瞬で崩れ落ちた。
「危ない!寧々!」
状況を理解した時、
五条くんの声が聞こえた時には、もう
「ーーっ!!!いっ…たぃ…っ!!!」
肩に喰らった夏油くんの一撃…それよりも格段に重たい鉛のような破片が、左の足首を直撃した。
「寧々!」
死角から降ってきた、私の足首を骨もろとも砕いたのは建物を構築していた鉄筋だった。
「俺のせいだ!俺が寧々を守れなかったから!」
「ち…が…っ」
怪我をしたのは私のせい。
私のバリアが上手く作動しなかったせい。
「五条く…、ん、それ…よりっ…」
鉄骨造の工場を押し割りながら姿を現したもの、地中から出でしもの…
「あい…つっがっ、ほんっ…たいっ」
赤褐色の体をした全ての分身の元締め、特級にも匹敵しそうなほどの呪力を感じる親玉。
崩落した工場よりもずっとずっと大きくて禍々しい、負のオーラが空まで届かんとするもの。
事実、その巨体は視界に収まりきらないほどに肥大だった。