第7章 夏休みといえば
「朝になったらクリーニング屋さんに「ん、そのままでいいよ」
「え?」
汗もかいたし、食べ物の匂いだって染み付いているはずなのに。
「寧々が着てたやつ、そのままちょうだい。大丈夫、匂い嗅ぐだけだから」
「何が大丈夫なの?」
染み付いた食べ物の匂いだけでは、済まされないんでしょうね。
五条くんは深夜テンション且つ、お祭りの熱気に毒されているらしくていつも以上におかしい。
嫉妬だとか言った妬み、嫉みを置き去りにするほどの変質者になっている。
「脱いだら俺の部屋に持ってきて。実家で贔屓にしてる洗濯屋があるから、そこに持ってく」
着てみて改めて分かった事。
それはこの浴衣がとても上質なものだという事。
手縫された生地はしっかりとしていて、体に沿う柔らかいもの。
機械でのプリントではなく、手染めされた繊細な色。
小物も細部に渡るこだわりを感じる一級品。
そこら辺のクリーニング屋で取り扱えるような代物ではない…のでしょうね。
「そんで洗った後は、将来の妻の浴衣だから厳重に管理するように言いつける。どう?完璧っしょ」