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A3! 総監督の友達兼右腕

第1章 春組『出会い』


仕事の休み時間中、昔からの友達のいづみから連絡が来た。


『前、MANKAIカンパニーを見に行ったの。でね、色々あって劇団を立て直すことになったんだ。それで話したいことが沢山あるから雨国、寮に遊びに来ない?』


いづみの声が弾んでいる。
…とりあえず凄い興奮してる事はわかった。
お父さんが居なくなったって聞いてたから無くなってたかと思ったけどそうじゃなかったんだ。

最近いづみに会ってないし行ってみようかな。


その週の日曜日、ビロードウェイに向かった。

やっぱここは凄いな。
ストリートACTを見つめているとどこの劇団員がどのくらいの実力を持っているかは何となくわかる。

懐かしいと見ていたら1人の男の子にぶつかった。


「あ、ごめんね!」


「こちらこそすみません!!お怪我はないですか?」


明るいピンク髪の男の子がこっちを見て謝る。
私は首を横に振った。


「大丈夫だよ。あれ…、これ台本?」


男の子が落とした台本を拾って手渡す。
男の子はパッと笑って頷いた。


「はい!俺まだまだ演技はだめなんですけど…。主演をやらせてもらえることになって!」


主演を任せられたなら演技力は良いのだろう。
…謙遜する子なのかな。


「そっか。頑張ってね!」


「はい!」


別れて歩き出したが一緒の方向に行くらしい。
なんか気まずくて笑ってしまう。


「……一緒の方向なんだね」


「みたいですね!何処に行くんですか?」


男の子は笑顔で聞いてくる。
私はマップアプリを見せながら答えた。


「MANKAIカンパニーの寮知ってる?」


すると男の子は目を丸くした。


「俺、そこで劇やってるんです!わあ…、偶然だけど嬉しいですね。一緒に行きましょう!」







「着きました!」


ドアを開けて中に入るといづみが来る。


「咲也くんおかえり!…あれ、雨国!!」


私は持っていた鞄からお土産を手渡す。
いづみはそれを受け取って中に促した。


「入って入って!今日泊まってく?」


「えー、良いの?」


「全然良いよ!」


2人で盛りあがっていると男の子は微笑みながらいづみと私に頭を下げて部屋に戻って行った。


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