私のバイト先は推しグルがよく来るかもしれない件について
第4章 強盗犯とドズル?
と言っても、やはり数日経てば冷静になってきて。
たまたまあの二人のあだ名が「ぼん」と「ネコおじ」だった可能性もある訳だし。ほら、男たちの「お前の声〇〇に似てるよな〜」でつけられたニックネームとか? あり得なくはないよね?
と私は気を取り直し、今日もだるいなと思いながらコンビニ店員をやっていたのである。
「おい、金を出せ」
急に突きつけられた言葉に私の頭の中は真っ白になった。そして向かい合う男っぽい人物が、銃のようなものをちらつかせる。
「た、ただ今準備します……!」
私はなんとかそう答えながら、こういう時のマニュアルはなんだったけ、と思い出そうとした。だが、人はピンチになると何も思いつかないらしい。いつものレジスターを開けるだけでも手こずってしまい、それが返って強盗犯をイラつかせた。
「おい、早くしろ!」
「は、はい……!」
私はなんとかレジスターを開けた。すると強盗犯はこの袋に入れろと指示を出す。私はこの恐怖から逃れたい一心で札束を握って袋に詰めようとした。