第7章 外の面(とのも)
今日の坂田家の食卓に並ぶ朝の献立は白米、わかめと大根のみそ汁、そして夕飯の残り物である肉じゃがだった。一晩置いて肉やジャガイモに味がよく染み込んだ肉じゃがは絶品で、箸を持つ手が進む。菊が一人で炊けるようになったご飯もふっくらと美味しく、新八と共に作ったみそ汁もまた家庭的な味で全員の胃袋を満足させた。
料理と一緒に会話も万事屋メンバーの中で楽しく進んでゆく。銀時は今日も結野アナの素晴らしさを語り、新八はその日の特売を報告し、神楽は定春の散歩コースに悩み、揚羽は寺子屋で習った新しい四字熟語を復習し、菊はそんな皆の会話に相槌を打った。
そんなこんなで後に食事も終わって菊が皆の食器を片付ければ、週末で寺子屋のない揚羽を含めた他の四人と一匹は買い物へ行く準備をする。新八のリサーチにより、本日のセールの為に商店街へ出向く事が決まっていた。銀時が財布をしっかりと持ったのを確認すれば、後は目的地へ向かうだけだ。しかし、揚羽が早々と玄関へ向かう銀時に待ったをかける。何なんだと不満を顔で表す銀時だったが、「ああ、そうか」と思い出したように少女と共に部屋の家へ引き返す。新八と神楽、そして定春も銀時に続いた。
少女の先導で向かった先は食器を洗い終わったばかりの菊の元。濡れた手を前掛けで拭い、襷(たすき)を外した菊の袖を引っ張って、揚羽は注意を引く。後ろにいた面々も、この後に続くであろう二人のやり取りを見守っていた。
揚羽が出かける時は、いつも必ず「いってきます」と「いってらっしゃい」を言う二人。菊が寝たきりだった時はあえて声を掛ける事は避けていた為、銀時達は未だに菊に「いってきます」を言い忘れがちなのだが、揚羽だけは忘れずに必ず挨拶をした。
揚羽は満面の笑みで姐に一言いう。
「姐さんも一緒に行こうよ。」