第5章 貴方に教わる命の繋ぎ方
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「美味しい!」
「美味しいアル! これ、菊が作ったアルか?」
「え、と。」
食卓に並べられた品々はまず、揚羽と神楽によって褒められた。いつも銀時が作るものより見た目は悪いものの、それが初めて料理にチャレンジした菊の手料理だと気付けば一同に喜びを見せた。
しかし菊は料理を銀時のサポート付きで作ったために、自分で作ったと自信を持って言えるかどうかが分からなかった。どう答えれば良いのか考えあぐねている菊をよそに、銀時が代わりに答える。
「おう、そいつぁコイツの手料理だ。」
やっぱり、と子供組は次々と料理に賞賛をあげ続けた。嬉しさと恥ずかしさで菊は赤面する。それをを誤摩化すように、菊は黙々と箸を進めた。それでも尚、褒めの言葉は止まない。
「さすが姐ちゃんネ。銀ちゃんのムサくるしい感じが無くなってるアル!」
「ああ、僕も何か分かる気がします。」
「おい、それどういう意味だ! ムサくるしい感じって何? なに二人してふわっとした感想してんの? つーか、俺が教えたんだから、いつもと同じだろうが!!」
「違うネ、なんか姐ちゃんが作った方がすっぱい匂いがするアル。」
「すっぱい!? おまっ、塩焼きですっぱいは可笑しいだろうが!」
「神楽ちゃん、さすがにそれは無いと思うよ?」
「でも美味しそうな匂いネ。実際に美味しいアル。」
どこまでが本気でどこまでが冗談なのかは分からないが、いつもの万事屋メンバーの支離滅裂で楽しい会話が繰り広げられた。相変わらず騒がしいが、その日もまた賑やかに食卓を囲めた事に菊は心の中で感謝する。まだまだ独り立ちするには先が長いが、こうして万事屋の食卓に新たな味が一つ加わったのである。