第4章 あたたかな 〜銀時篇〜
「薬を手に入れる時、試しに子宮にも効くか聞いてみた。そしたら運良く使えるってよ。」
差し出した薬と共に銀時の口から出たのは嘘だった。運良く子宮にも使用出来るのではなく、銀時は子宮にこそ効果がある薬を探していたのだ。
炎上から救出した後、百華達は医者に菊の体を見せたと言う。地上から呼び寄せた医者は、とりあえず火災による負傷を重点的に手当しまわっていた。が、火傷以外にも尋常じゃない数の傷を負っている『死角』の遊女達は、くまなく健康状態を調べられたそうだ。そして案の定、もう子供を孕む所か抱かれる事すら危険なほど、菊の体は傷つけられていたそうだ。
結婚して子供を授かる事だけが女の幸せとは決して銀時は思ってない。しかし、初めて寺子屋へ行く揚羽を送った日、お喋りな少女が口にしたのは『女の幸せ』なるものだった。そしてそれは菊に直接教わったものだという。