第1章 TNTになった俺と傷つかない少女
「俺、危ないから離れた方が……」
立ち上がってミウから離れようとした瞬間、俺はさらにやばい状況に気がついた。
俺たちは、ガラス張りの部屋の中に閉じ込められている。
「な、なんだよ、ここは……」
と俺が呟けば、某メンバーのように人懐っこい感じのミウが近づいてきて、あのねと話し始めた。
「ここ、研究所なんだよ」ミウはスラスラと喋った。「あたし、何しても傷つかないから、みんなを助けるためにここにいるの」
「は……?」
意味が分からない。というかこのミウは、なんて言いくるめられてこんなところにいるんだよ?
「お話が出来るお友達が来るのは初めて! メンと一緒にみんなを助けようね!」
「あ”、ちょっと待っ……」
ミウは断りもなく俺の手に飛びついてきた。と同時に、聞き慣れた音が頭の中からシュッと響き、俺はすぐさまミウから離れようとしたが、間もなく爆発音と煙に包まれた。
俺の体は真っ逆さまになって吹き飛び、背中がガラスの壁に強く打ち付けられて床に倒れた。
夢とは思えない程の強い衝撃と痛み。
「おい、大丈夫か──」
この爆発を間近で受けて無事なはずがないが、そう聞かずにはいられなかった俺は、徐々に晴れてくる煙の中から、小さな影を見つけた。
「ミウちゃん、か……?」
恐る恐る声を掛けると、小さな影は素早く動いた。
「うん、ミウだよ!」
煙が消えてようやくよく見えたその姿に、一切の傷がなかったのである……。