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TNTになった俺と傷つかない少女

第6章 TNTになった俺と傷つかない少女6


「ミウ、何飲む……ってなんだ?」
「メン、頭ナデナデして〜?」
「は……?」
「だってミウ、頑張ったでしょ?」
「まぁ、そうだな……」
 金を払えと言われるよりは安いもんか。俺はそう思うことにし、ミウの頭をぽんぽんと撫でた。ミウは嬉しそうに笑う。
 まさか俺にこんなかわいい子どもが懐くなんてな……って誰が子どもに嫌われてるって言ったんだよ?
 いやいや、一人でボケとツッコミをしている場合ではない。俺は適当に掴んだエナジードリンクを飲み干し、ミウがオレンジジュースを飲み終えるのを待った。
「えへへ〜、美味し〜」
「それはよかったな」
「メンも美味しい?」
「ああ、美味い美味い」
 俺はだんだん面倒になって雑に返事をしながら、世の親御さんたちはこんな子どもの相手をずっとして大変だろうな、と思った。
 あとはミウの両親を探してやりたいところだが、森の中で会った男を見る限り、だいぶ訳ありだ。そう簡単に「はい、終わり」と出来るのかどうかは分からない。
 だったらどうしたもんか、と考えていると、すっかり暗くなった向こうで、ゆらりと光るものが現れた。
「そこで何をしているんだ?」
 あ、これはマズイ。
「ミウ、行くぞ」
「うん!」
 俺はミウを抱えてこの場から急いで立ち去った。壊れた自販機の前で、悠々と飲み物を飲んでいたら絶対怪しい人間だ。
 走って足音を立てる訳にもいかないと、ミウの口を抑えたまま、近場の建物の縁に身を隠した。
「うお、なんだこれは……自販機?」誰かが、壊した自販機の前で呟いているのが聞こえた。「こんな壊れ方なんてあり得ない……おい、応援を頼む──」
 俺はその声が遠ざかっていくタイミングを見計らって小走りでそこから逃げた。
「ぷはっ! さっきのはなぁに?」
 口を抑えていた手を離すと、早速ミウが聞いてきた。俺は街の中を駆け回りながらさぁなと答えた。
「とりあえずここで休むか」
 俺は使われていなさそうなボロボロの倉庫へ逃げ込んでミウを下ろした。隙間から漏れる街頭を頼りによく見てみるが、ミウは少し疲れているみたいだった。
 俺はミウを小さなコンテナみたいなところに座らせて膝をついた。ミウは大きな目で俺を見つめ返してきた。
「ミウに聞きたいことがあるんだが」
 俺はゆっくりと質問を続けた。
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