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歪み

第1章 懺悔


「て、転校してきました!です」

3年のクラス全員の前で頭を下げる。
無視される
雑巾を投げられる
机に落書きされる
様々な不安でドキドキしていると甚爾に結んでもらった細い赤い糸が視線に写る。入学の手続きしてくれた甚爾の為にもは固定概念を捨てる事にした。大丈夫、きっと大丈夫。

もしダメだったら今回は甚爾がいる。気合いを引きしめて席へ着くと休み時間に物珍しいのか人が集まってきた。

「どこから来たの?」
「趣味は何?」
「髪綺麗ね!」
「好きな物とかある?」

「あ…えっと」

初めのうちは興味を持ってくれる皆も、1週間すれば落ち着く。喋りたいと思っていたはずが、なぜか見ないで欲しいと思う。
視線が怖い
言葉が怖い
行動が怖い

何度も甚爾のことを呼んでしまう。
しかし、こんな所に彼がいるはずもなく、ガチガチになりながら時間が過ぎるのを待つ。

「消しゴム落としたで」

消しゴムを拾ってくれたのは青い髪の女の子。

「あ、ありがとう」

「私は妹尾 あいこ!よろしゅう頼んます」

大阪弁で話す隣の席の女の子。いきなりで驚いたが友達を作るチャンスだ。

「妹尾ち、ちゃん!今日一緒にか、か、か」

「か?」

不思議そうに首を傾げる妹尾に恥ずかしくて鞄で顔を隠す。“一緒に帰ろう”と言えない。断れると思うと怖くて気が引けてしまう。

「なんでっか?はっきりしぃひんな」

「ご、ごめんなさい」

「あいこちゃん!帰ろー!」

「どれみちゃん!今行く!ほならまた明日!」

結局一人で家に帰る。
勇気があれば…後悔しても変わらない。また明日がんばろう。台の上に乗り料理を作っていると玄関から物音が聞こえた。
甚爾が買ってくれた家は大きな一軒家だった。事故物件で初日は薄暗く恐ろしかったが、呪霊を払って今は明るく平和である。

「おかえりなさい!」

台から飛び降りて家の主を迎えに行くとパーカー姿の甚爾がサンダルを脱いでいるところだった。

「おー、ただいま」

甚爾の肩に乗っていた相棒の呪霊がへ飛びついてきた。グルっと身体に巻き付く紫の芋虫。仕事の相棒の呪霊で名前がなかったので“ペペ”と名ずけた。この子はなんでも収納できるからとっても便利なのだ。

「どうして、ぺぺが外にいるの?」

甚爾はいつもぺぺを胃袋にしまっているのに
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