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密かな交換条件【進撃の巨人】

第1章 突然の呼び出し



「そうか。
私の思い違いだったんだな。
そんなに焦らせてしまってすまない。」

異常に取り乱すアンを見て、
エルヴィンは少し笑いながら言う。


「だが、ミケが誰かを部屋に
呼び出すなんて珍しいな。」

「……何か気に障ることでも
したんでしょうか……」

思わず不安な気持ちを漏らすアンに

「君がミケの気に障ることをしたのだったら、
部屋には呼ばないと思うが。
逆なんじゃないのか?」

エルヴィンはそう言って
アンの肩を優しく叩いた。


「………逆?」

「取りあえず部屋に行かなければ分からないな。
ミケのことだから、
乱暴な真似はしないだろう。」

アンの問いかけに答えることもなく、
エルヴィンはそれだけ言うと再び歩き出した。



エルヴィンの後姿を見送りながら
“気に障ることの逆”を考えてみる。



……まさか。

そんなはずはない。



頭に過った自意識過剰な考えを
振り払うかのように、
ブンブンと頭を勢いよく横に振り、
アンは重い足取りのまま
ミケの部屋に向かった。


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