第9章 恋をすると
食事を終え、
女性に見送られながら食堂を後にし、
少し歩いたところで
「エルヴィン。俺はこれから
少し寄りたいところがある。
先に二人で帰っていてくれ。」
と、ミケがエルヴィンに声を掛けた。
「何か用事でもあるのか?」
「ああ。また基地でな。」
ミケはエルヴィンの問いかけに曖昧に答え、
一瞬アンに目配せをすると
基地とは反対方向に歩いて行った。
こんな傷心している時に、余計な気遣いを……
そう思いつつ、
エルヴィンを横目で見ると、
すぐに目が合い、急いで視線を逸らす。
すると、
「アン。すまなかったな……」
いきなりエルヴィンに謝られ、
「な、何がですか?」
と、どもりながら聞き返した。