第6章 執着と後悔
「黙っていたことは謝る。
だが俺はまだ、お前の片思いを
応援してやりたいと思ってる。」
ミケの話し方は相変わらず冷静だが
その中にも強い感情があるのではないか、
と思えてしまうような温かい声だった。
小さくため息を漏らすと同時に、頬を涙が伝う。
泣いたのなんて、何年振りだろう。
泣くほど感情的になっている自分を
自分でも不思議に思う。
そう思った時、
ミケに優しく抱き寄せられた。
「……泣くくらい好きなら、
そんな簡単に諦めないでいいだろう。」
ミケの声は優しく心に響く。
思わずミケの腰に手を回した。
身体を重ねることはあっても、
こうして抱きしめられたのは初めてな気がする。
ミケの体温がこんなに心地いいものだったなんて
知らなかった。
それからしばらく
どちらかが言葉を発することはなく、
抱き合ったまま静かに時間が流れた。