第6章 執着と後悔
それなのに、
「何で諦めるんだ?」
ミケのその問いかけで、
一気に頭に血が上る。
「……それはミケさんなら
分かりますよね?」
思わず問いかけ返していた。
「エルヴィンに好きな女が出来た話、
もう知ってるのか。」
ミケは平然とそう答える。
「知ってるなら、
何で教えてくれなかったんですか?
私なんか無駄に片思いを続けていればいい
って思ってたんですか?」
感情が抑えきれず、思わず声を上げた。
乱暴な言い方をしているのは分かっている。
でも、そう言わずにはいられなかった。
「別に無駄な片思いじゃないだろう。」
ミケの声はアンの声とは対照的に、
落ち着き払っている。