第5章 入れ込んでいる相手
そんなある日。
食堂での仕事を終え、
ランプの火を消し、
食堂を出ようとした時だった。
廊下の向こうから
エルヴィンの声が聞こえた。
自然と鼓動が高鳴り、思わず耳を澄ませる。
「………エルヴィン。
またあそこに行ってたのか?」
エルヴィンにそう問いかけるのは、
ミケのようだ。
「ああ。お蔭で最近体調が良いよ。」
エルヴィンの声は、心なしか弾んでいる。
「そんなに入れ込んでどうするつもりだ?」
「別に入れ込んでいる訳ではない。
私のような男が入れ込んでいい相手では
ないからな。」
……入れ込んでる?……相手?
嫌な予感で胸が鈍く痛む。