第4章 優しい交わり
ミケは相変わらずの
殺風景な部屋にアンを招き入れると
「先にお前の欲求を満たすか、
俺の欲求を満たすか、どっちにするか選べ。」
そう言ってアンを見入った。
「同時進行でお願いします。」
そう即答したアンを見て、
ミケは思わず吹き出し、
「なんだ、お前は俺とすることを
一番の目的としてここに来たのか?」
と、肩を震わして笑い始めた。
「なっ!ち、違います!」
声を上げて否定しながらも、
初めて見るミケが声を出して笑う姿に釣られて
笑いそうになる。
ミケはこんな顔もできるのか。
殺風景なこの部屋と同じように、
あまり感情の色がない人だと思っていた。
こうして笑っているところを見ていると、
自分の周りからは
変人扱いされている存在のミケが
自分たちとあまり変わらない
普通の人間なんだと思える。