第3章 ミケの提案
「……団長って、恋愛に疎いんですか?」
アンは横目でミケを見ながら問いかけると
「そうだな。
エルヴィンは一人の女をただ愛するより、
人類の未来に
全力を尽くすことを選んだ男だからな。」
ミケは目を瞑り、強い口調で言った。
仕事を大切にしていることは、
見ているだけでも十分過ぎる程伝わっていたが
そこまで強い意志を持っていることは
知らなかった。
「愛する女の今を側で守る生活ではなく、
愛する女のこれからを
陰で守る未来を選んだんだ。
あいつはそれができる男だ。」
ミケは唖然とした表情で
話を聞くアンを横目で見ると
「どうだ。
お前の好きな男を落とすのは、
なかなか大変そうだろう。」
そう言って頬を緩めた。