第2章 匂いと誘惑
言っていることはかなり乱暴で自分勝手だが、
自分に触れてくる手は、
それと対比的にかなり優しく穏やかで
愛されているのかと勘違いしてしまう程、
大事に抱かれている
そう思わずにはいられなかった。
「……はぁ、ん…、」
抑えきれない淫欲が、
つい甘い吐息となって口を突いて出る。
「相当気持ちよさそうだな……
俺の欲求も満たしてもらっていいか?」
ミケはアンの恍惚とした表情を見ながら
問いかけた。
……欲求を満たす?
………私に咥えろってこと?
思わず戸惑いの表情を浮かべてしまうが、
自分だけ丁寧な愛撫を受けて
帰してもらえる筈がない。
冷静に考えれば当たり前のことだ。
……やるしかない。
アンは腹を括り、少し身体を起こした。