第3章 上陸
「確かに肌寒くなってきたかも……」
バッグからフード付きの外套を引っ張り出し、羽織る。
あったかい服はその分嵩むから安いのを買って次の島が暖かいところとかだと処分してたから今わたしが持っている服でいちばん暖かいのはこの外套くらいしかない。
下に何枚か着込めるものあったかな……
「リア?外套なんか着てどうした?」
キッチンへ行くと下拵え中なのか、ペンギンくんがいた。
「肌寒くなってきて……ズビ、あったかい飲み物でも淹れさせてもらおうかなって思って」
話していると寒暖差のせいか、鼻が垂れそうになった。
「ああ、ならおれが淹れるよ。ついでにキャプテンの所にも持ってってくんね?そろそろ無くなってるだろうから」
そう言うとペンギンくんは慣れた様子で珈琲を用意してくれる。
ローくんの、零さないように気をつけよう……
「そんで?肌寒くなってきたけど外套以外持ってない感じ?」
珈琲の良い香りが立ち込め始める。
「うん。少しでも荷物嵩張らないようにしてたら分厚い服とかは処分しちゃって……あ、ミルクってある?」
「ミルク入れる派?あるよ。ほんじゃあキャプテンのとこ行くついでになんか借りてきたら?」
ペンギンくんはミルクをすぐに温めて珈琲に入れてくれた。
「なんかって?」
「服。防寒着、何着か持ってるはずだから。おれらは防寒用のツナギと上に上着って感じでそれぞれ1着ずつくらいだからさあ。キャプテンに借りるのが一番だと思うぜ」
ほい、と珈琲が入ったカップが2つ並び、片方にミルクが注がれた。
その2つを手に取る。
「でも現状、洗って返すねって言ったパーカーも返せてないしなあ」
「そうなん?」
両手首の包帯を示すようにしながら、素手で洗えないから念力で洗う、というのは念力を使う感覚がまだ完璧では無いこと、そしてなんだか誠意がないような気がして素手で洗えるようになってからにしたいと考えていることを話した。
「な〜るほどなァ。真面目だな!良いと思うけど!まァ、リアが言わずとも、キャプテンが貸すって言いそうだけどな」
「かな?暑いのより寒い方が好きだから耐えれる気がするんだけど…」
「ま、ソレ持って行ってみ」
「うん、分かった。珈琲、ありがとね」
「お〜」