第2章 出航
「リア〜」
「イッカクちゃん」
イッカクちゃんはわたしと隣り合わせになっている自分のベッドに座ると、何やら紙を広げた。
「ベポとキャプテンが、次の島まであと1日くらいで着きそうって話してて」
「結構早いんだね」
「毎回じゃないけどね。そんで、キャプテンが次の島でリアに必要な物を買うって言ってて、これそのリスト。ここに書かれてるもの以外で欲しいものある?」
イッカクちゃんが広げた紙はお買い物リストだった。
マットレスや掛け布団、毛布など寝具一式はもちろん、言っていた帽子まで漏れずに書かれている(覚えててくれたんだ…)。
「これだけあれば……」
「あとどの季節・島に寄港しても大丈夫なように服も沢山買うから」
「え?」
そう言いながら紙にたくさん書き足していく。
「女はいろいろ必要だからね〜」と言いながら生理用品なども含めて、もともと書いてあった物よりもさらに多くなっていく。
「い、イッカクちゃん?!多すぎない??!」
「え〜??だって必要なものなんだから良くない?キャプテンがリアの『必要なもの』を買うように言ったんだし、それに次の島で換金しに行くし」
それ任されてんのアタシだから大丈夫大丈夫、とケラケラと楽しそうに笑った。
「女クルー、今までアタシ以外いなかったからさ。今リアのおかげでいろんなこと、楽しみなんだよね」
ニカッ!と音が鳴りそうなくらいの笑顔を向けられて尚「でも」なんて言えるほどわたしは人が出来てない。
そんなこと、そんな笑顔で言われたら「そっか〜」とこちらまで頬を、口を緩ませるほかない。イッカクちゃん、可愛い……セクシーでカッコよくて可愛い……。
「わたしもこんな風に同じくらいの歳の子とお喋りすること少なかったから、これからがすごく楽しみだよ」
今までは仲良くなってもどうせ自分は島を出て……と同年代だろうと、男性だろうと女性だろうとあらゆる人との関わりをできるだけ少なくしていたわたしにとっても、イッカクちゃんのようにおしゃべりできる相手がいるというのはすごく嬉しい。
そう伝えるとイッカクちゃんは紙とペンを放り投げるようにして抱きついてきた。
「リア可愛い〜〜〜〜〜!!!!!」