第5章 学校の七不思議
《ヒカリside》
道中、ムラサキさんが不思議な質問をしてきた。
「なあ、ヒカリ」
「はい?」
「…その…好意を寄せてる異性とかいるのか?」
なんとも難しく言い回した言い方だ。そんな言い方もムラサキさんらしくて笑ってしまう。
「そうですね…今はいませんよ」
「そ、そうか…」
なんだかホッとしたような顔をしていた。こんな事を知ってムラサキさんはなにか得でもしたのか?
「そう言うムラサキさんはどうなんですか?」
「は、はあ!?い、いる訳ないだろっ!!///」
「ふふっ良かった」
「よ、良かった?」
今までにないほど慌てたような顔をするムラサキさん。
「だって、そうだったらムラサキさん、私の護衛役と彼氏役、解約しなきゃですからね?」
「そうだな」
「それに私を一生守ってくれるんですよね?」
「あぁ、勿論忘れてないからな」
心のどこかでどこにも行ってほしくないと思っている。これが独占欲と言うものなのか。ムラサキさんは誰のものでもなくて勿論、私のものでもない。
「それじゃあ、また明日!ムラサキさん」
「…」
「ムラサキさん?」
その場から動かないムラサキさんに駆け寄ると急に顔を近付けられた。驚く暇もなく頬に柔らかなものが触れた。
「え…」
ムラサキさんはそのまま私に背を向けて早足に去って行った。頬に触る。妙にそこだけが熱を持っていてそれがいずれ全身に行き渡り、状況を理解した。
「き、キス…された…?」