第4章 子供になっても…
次の日ー
「ん…」
朝になっていた。隣にはまだ、寝ているヒカリがいる。後ろ髪が顔にかかり、鬱陶しそうに眉を寄せていた。それをソッと払う。
「あれ…手が」
自分の手をまじまじと見つめる。昨日まで二回りくらい小さかった自分の手がいつの間にか元の大きさに戻ってきた。体を触る。ガッシリとした肩、筋肉質の腕。足元を見れば長い足もあった。
「戻った…」
「んあー」
するとヒカリが目を覚ました。目を擦りながら起き上がる。キャミソールの紐が二の腕まで下がっていて少しエロく、ドキッとした。
「…ムラサキさん?」
「元に戻った…」
「…ほ、ホントだ…」
「なんでなんだ…」
「さ、さあ…?」
しばし、顔を見合わせて首を傾げる。
「ふふっでも、元に戻って良かったじゃないですか!」
「そうだな、昨日は世話になった、ヒカリ」
「いえいえ、気にしないで下さい」
昨日の事を思い出すとつい目線がヒカリの胸に行く。それをどうにか気づかれないように逸らす。全く、厄介なことをしてくれた。
「と言うか…俺がここで寝ていたら怪しまれるんじゃないか…」
「まあ、適当に誤魔化しておきますよ、その間に逃げて下さいよ?ムラサキさん」
「はあ…」
その後、警察庁に出向き、アートの事情聴取を受けた。
少し縮まった俺とヒカリの距離。何故ここまでヒカリに気がいくのは少し後になってから気付くのだった。