第4章 虹色のパン
「ちょっと待って……虹色のパンって変だよ。何か毒があるんじゃないの?」
と僕が言うと、おらふお兄さんは目をぱちくりとさせた。
「それもそっか。虹色のパンって、普通じゃないもんなぁ」おらふお兄さんはそう言って虹色のパンを手に取った。「見ててな? 僕が先に食べてみるから」
そしておらふお兄さんは、パクリと虹色のパンを食べたのだ!
それから美味しそうに食べるから、弟は我慢出来なくなって虹色のパンに齧り付いた。僕もお腹が空いていたから思わず食べてみると、ふわふわのパンに、甘い果物が入っていて本当に美味しかった。
「美味しい……!」
「美味いやろ?」
僕が感想を言うと、おらふお兄さんは嬉しそうに笑った。僕も嬉しいはずなのに、なんだか涙が溢れてきて止まらなくなった。おらふお兄さんは慌てた。
「え、なんで泣いてるん?」
「お母さんが……よくパン作ってくれたから……」
僕は泣きながらそう言った。僕たちは最初から孤児だった訳じゃない。パン屋さんをやってたお母さんと一緒に暮らしていて、だけどお母さんは病気になっちゃって……。
横にいた弟も、僕につられて一緒に泣いた。おらふお兄さんも困ったようにオロオロしていたけど、そうだ! と何か思いついて僕の目の前に何かを見せた。