第3章 たくさんの初めて
悟「てめぇ、なに俺以外に口説かれてんだよ。」
えっ!理不尽!
『もう〜悟さんってば!怒んないでよ。それより、今の人に眼の色のこと、気付かれてた。』
なんか、どうしよう以外の言葉が浮かんでこない。
どうしたらいいの?
悟「…アイツ…呪力が全くなかった。まぁ、俺たちがすることは今までと変わりねぇよ。お前は自分のこと守れるくらい強くなれ。俺たちがついてる。」
そう言いながら頭を撫でてくれた。
飲みものを持って席へ戻ると、すでに美味しそうなお料理が並んでいた。美味しそうすぎて今あった出来事を話さないと。
『みなさん、食べながら聞いて欲しいんですけど…』
青くなっている私を安心させようと、みんなが優しい言葉をかけてくれる。
傑「風海、安心して?私たちがしっかり守るから。」
せっかくのお料理の味がわからなくなってしまうほど、動揺した。でも、元々見つからなかった方が奇跡だったんだよね。情報はいつか漏れる。それが早かっただけ。
とにかく、強くなろうと誓った。
守ってもらうだけじゃなくて、強くならないと。
それからたくさん訓練をした。
手は豆だらけだし、身体中あざだらけ。悟さんは相変わらず容赦ないけど、コテンパンにされた方が自分を過信しないからいいと思った。
2年生も合同で行われた体術訓練の日、七海くんと組むことになった。軽快な動きで相手を翻弄し、懐に入り込む。小さな私の得意なこと。
だけど何度も一緒に訓練して、私を分かりきってる七海くんには通用しないか…じゃあ、足を払う!急にしゃがんで足を払おうと力を入れる。
それに気がついた七海くんはジャンプで回避。コレも失敗…次は…と考えていると
七「だいぶ動けるようになりましたね。けれど、これからですよ?」
そう言ってスピードを上げる。
受けるのがやっとになってきた…何度か受け損なったけど、まだいける。…最終的に負けた。軽々持ち上げられて投げられ背中から地面に着地した。
息が上がってる私に対して、ほとんど呼吸の乱れていない七海くん。
ランニングしようと心に決めた。