第3章 たくさんの初めて
到着すると、お客さんたちが色めき立つのがわかった。
ん〜この感じ、いつまで経っても慣れないな。分かってはいるけど、ヤキモチ妬いちゃう。
せっかく勝っていい気分だったのに〜
席に案内され、メニューを広げる。
おぉっ!こんな感じなのか!
デザートがたくさん♡
ご飯よりも甘いものが気になって、何度も確認してしまう。
とりあえずごはんを食べてから…とみんなに諭され、食事とドリンクバーを頼んで取りに行く。
わぁ♡いっぱい!
たくさんあって目移りしてしまう。
ドリンクバーの前で迷っていると、
「早くしろよ、ブス」
「調子乗んなよ」
と女の子にぶつかられた。
『すみません…』
都会怖い…昔のことが蘇って、怯えてしまう。
たぶん私がちんちくりんなのに、かっこいい人たちと一緒にいるのが不満なんだろうな。
後ろに下がって壁側で空くのを待っていると、
「ねぇ君、大丈夫?」
と声をかけられた。
隣に誰かいたの気が付かなかった。
振り返って笑顔でお礼を言う。
『大丈夫です!ありがとうございます』
黒い髪の黒い服を着た男の人。
すごくかっこよくて色気を感じる。大人の男性っていう感じ。
思わず見惚れてしまうと、ふっと笑って
「可愛いじゃん♡俺と遊ぶ?高校生?」
と言って私の頭の上に片肘をついて壁ドン状態になっている。目線を外すと顎を持ち上げられ、無理矢理目を合わせられる。
なにも言えずにいると、
「ん?おまえの眼…」
と言われてハッとした。慌てて目線を外したが、すでに見られた後。この人がどんな人なのかわからないけど、もし呪術に精通している人だったら?非常にまずい。
『すみません、離してください。』
普段の声量が出ないほど、動揺してる。
どうしよう。
悟「おいっ!風海!いつまで飲み物取りにいってんだよ。
…で、これどーゆー状況?」
あぁ…こんなとこ見られたくなかった。
こんなに悟さんが威嚇してるのに全然怖がってない。
なのにこの人は呑気に
「風海ちゃんっていうんだ。可愛いね♡じゃー遊びたくなったら連絡してよ。コレ、名刺ね。風海 ♡」
と言ってお店から出て行った。
名刺を見てみると
伏黒甚爾
と書かれていた。
なんて読むんだろう?
珍しい苗字だな…