第2章 呪術高専
夏油side
とても嬉しそうな彼女の笑顔が戻ってきて、安心した。
さて外野はどうしようか。周りを見渡そうとすると、危険なのは周りの男だけではないことに気がついた。
…悟…
彼女の腰を引き寄せ、身体を密着させている。
その細い腰に手を触れるな。
優しく見つめる悟と、少し頬を赤らめながら見上げる風海。
周囲も見惚れるほど、絵になっていた。
2人の美しい青色の眼が美しくて、嫉妬することすら忘れるほど。
電車に差し込む光がより際立っていた。
悔しいことに、お似合いだと思ってしまった。もちろん譲る気は毛頭ないが。
そしてそんな雰囲気の中、悟の放った言葉により車内は騒然とする。
悟「…わりぃ、勃った。」
割と普通の声量で言っているので周りの乗客にも聞こえているだろう。本当に悟は…
傑「…!!
悟!電車内だ!わきまえろ!風海、こっちにおいで」
硝子は涙を流しながら笑っているし、七海は頭を抱えている。
灰「五条さん!見つめるだけで、すごいですね!」
何がすごいんだ灰原。いつものように目を輝かせて悟を褒めている。褒めるところじゃないだろ。
風海はというと、耳まで真っ赤にして私の胸の中に収まっている。ぎゅっと服を掴む彼女を見ていると愛おしさが込み上げる。そしてふんわりと香る彼女のにおいに包まれた感覚になった。
…まずいな…
悟がそうなったのも頷ける。
彼女を見ているとイケナイ気持ちになりそうで、
悟の二の舞になりそうで
必死に気を逸らした。
硝子には気づかれていたのかニヤニヤしてる。
しょうがないだろ。
好きな子が腕の中にいるんだ。
こんな状況でも離したくはない。たとえ悟と同じになったとしても、そのことに彼女が気がついても、今日はこのまま私が彼女を捕まえておこうと思った。